だいぶ前からモバイルで小説読んだりすることが多いのだけれど。

【本田雅一の週刊モバイル通信】液晶で本を読むのも悪くないと思い始めた理由 - PC Watch

〜前略〜
●紙不足、インク不足と電子雑誌

 もうそろそろ、東北地方太平洋沖地震の話から抜け出なければならない頃だが、実は電子書籍(中でもとりわけ電子雑誌)と、この震災の間には深い関連性があるので、まずは冒頭で触れておきたい。

 震災以降、書籍や雑誌を作るための紙不足が深刻との報道を見たことがある方も多いと思う。これには大きく2つの理由がある。

 1つは有明にある用紙保管倉庫が水没したこと。この用紙保管倉庫は製紙メーカーが共同で運用しているもので、製本のために紙が必要になると、この倉庫から必要な分をオンデマンドで切り出して印刷所に搬入される仕組みだった。

 ところが、埋め立て地である有明地盤沈下を起こしてしまい、用紙の在庫が軒並み水没。さらに落下などで芯材にダメージが出てしまい、出荷できないロールもあるそうで、もともと多く持たなくなっていた中間在庫が激減してしまった。

 さらに東北や北関東にある製紙工場が被災し、すぐに印刷が行なえない状況がある。特にコート紙は工場内をチリ1つないクリーンな環境に戻す必要があるなど、復旧にはある程度の時間が必要になるようだ。北関東の工場は動きつつあるようだが、東北の工場は見通しが立っておらず、全国の雑誌用紙の4割を生産していた工場の復旧をあてにできない。

 西日本の製紙工場からの配送を手配しているそうだが、ガソリンなど燃料の一時的不足もあり、また在庫が一通り捌けたあとの生産能力などからしても、発行部数やページ数などの制限がしばらくは続くことになりそうだ。

 しかも、この問題に輪をかけているのがインク不足だという。東北には質の高い顔料を作る工場があり、こちらも被災で顔料の製造ができなくなってきているそうだ。インクメーカーによって異なるが、いくつかのカラーインクの在庫が減ってきていると伝え聞いており、顔料の供給が長期にわたって途絶えると出版・印刷業界のダメージは大きくなりそうだ。

 日本雑誌協会によると雑誌の発行休止、または発行を延期は190誌を超え200誌に迫るという。コミック誌など発行部数の多い雑誌の場合は、物理的な配送の問題もある。このところ無料電子版での配信に、いくつかの雑誌が乗り出しているのは、どうしようもない事情が背景にあるからだ。

 “紙の雑誌はもういらないのでは”という過激な意見もあるが、電子雑誌の発行で雑誌の製作費が賄えるのは、まだ相当先の話になる。震災の影響は広告業界にもダメージを与えることは確実なため、紙の雑誌は本格的に冬の時代を迎えることになる。こうした急速な環境の変化が、雑誌の電子化を加速させるのではないか? という見方があるわけだ。

 紙不足、インク不足で雑誌が従来通りに発行できなくなる可能性は確かにある。実際、ほとんどの雑誌が減ページ、あるいは発行部数減を依頼されており、今後も資材不足が続けば発行できなくなる可能性はある。しかし、だからといって雑誌の電子化が急速に進むというのは楽観的な見方だ。

 というのも、電子雑誌ではこれまでの雑誌市場をとてもではないが、支えきることはできないからだ。今はまだ、これから数年をかけて電子雑誌の立ち上げの方向を模索する段階だろう。まだ業界の準備は整っておらず、紙と電子の両輪を回していかなければならない。製作コストを回収するビジネスモデルがうちに見切り発車で前へと進んだところで、良い結果を出すのは難しいだろう。

 とはいえ、今回の件が雑誌の電子流通に関する議論を、さらに真剣味のあるものにすることは間違いない。そうした意味では、雑誌ビジネスの変革へと一歩前へと進んだと表現することはできるかもしれない。
〜後略〜

電子化は普及する、というより選択肢のひとつ、と捉えればよいかと。数千年の昔から続いた紙が急に取って代わることはないと思います。電子化で持ち運びやすいとか管理が簡単とか、いろいろあるけど要は適材適所ではないか。